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SES→フリーランス独立タイミング3条件【転職1.5年実体験】
【この記事でわかること】
・SESからフリーランスに独立すべき「3つの判断基準」
・転職1.5年で独立した私がやらかした初案件失敗の全貌
・独立を急いで失敗する人・うまくいく人の決定的な違い
・2024年11月施行のフリーランス新法がSES出身者に与える影響
「SESって単価が上がらない。フリーランスになれば変わるのかな」「でも、今が独立のタイミングかどうかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか。
私も同じ悩みを持っていました。SES 1社目では月収20〜25万円で働いていたのに、会社を変えただけで月収40万円になりました。「これだけ収入が変わるなら、フリーランスになればさらに上がるのでは」と思い、転職からわずか1年半でフリーランスに独立しました。
結果は——初案件を3ヶ月で切られるという惨敗でした。
それでも立て直し、今では単価50万→72万→93万円(税込100万円超)まで引き上げ、資産5,000万円を達成しています。その経験から言えるのは、SESからフリーランスへの独立は「タイミングを間違えると取り返しのつかない遠回りをする」ということです。
この記事では、独立のベストタイミングを見極める3つの条件と、失敗しないための準備を、私自身の失敗体験も包み隠さずお伝えします。
SESからフリーランスに独立する人が増えている理由
SES(システムエンジニアリングサービス)からフリーランスへの独立を選ぶエンジニアは、年々増えています。
エン・ジャパンの「ITフリーランス市場調査2025年版」によると、2025年のITフリーランス人口は約158,930人に達し、市場規模は1兆1,849億円(2015年比1.6倍)まで拡大しています。
なぜSESエンジニアがフリーランスを目指すのか。理由は明快です。
SESの月収構造に問題があるからです。SESは会社がクライアントから受け取る単価の一部をエンジニアに渡す「中抜き構造」になっています。中抜き率は会社によって大きく異なり、同じスキルのエンジニアでも所属会社次第で手取りが倍近く変わります。
私自身が体験しました。SES 1社目では月収20〜25万円だったのに、別のSES会社に転職しただけで月収40万円になりました。同じようなスキル・案件でこれだけ差が出るのは、完全に「所属会社の取り分」によるものです。
フリーランスになれば、クライアントから受け取る単価のほぼ全額が自分の収入になります(エージェント手数料を除く)。だからこそ、多くのSESエンジニアがフリーランス独立を目指すのです。
SESとフリーランスの収入構造の違い
フリーランス独立のタイミングを考える前に、収入構造の違いを正確に理解しておく必要があります。
| 項目 | SES正社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 月単価60万円の場合の手取り | 約36〜40万円 | 約40〜45万円 |
| 月単価80万円の場合の手取り | 約48〜52万円 | 約55〜65万円 |
| 社会保険料 | 会社と折半(負担が半分) | 全額自己負担 |
| 確定申告 | 不要(年末調整で完結) | 毎年自分で必要 |
| 有給・育休 | あり | なし |
| 案件が切れた場合 | 会社が次を探す | 自分で探す必要あり |
フリーランスは社会保険料(国民健康保険・国民年金)を全額自己負担するため、実際の手取り率は売上の55〜65%程度になります。「単価が上がった=手取りが増える」は正しいですが、SESより手取り率が上がるかどうかは単価次第です。
月単価70万円以上を取れるなら、フリーランスのほうが経済的に有利になるケースがほとんどです。それ未満なら、SESで単価交渉・会社変更をするほうが手取りを増やせる場合もあります。
SESから独立すべき3つのタイミング判断基準
独立のタイミングを間違えると、私のように初案件を3ヶ月で切られる結果になります。以下の3つを全て満たしてから動くことをおすすめします。
判断基準①:月単価の「市場価値」が見えている
エージェントに登録して、複数のオファーをもらった経験があるかどうかを確認してください。
重要なのは「今の単価」ではなく「市場が自分に提示する単価」です。今の会社で月収50万円もらっていても、フリーランスエージェントに登録したら「35万円の案件しかない」と言われたとしたら、それが市場評価です。
独立前に最低2〜3社のエージェントに登録し、複数のオファーをもらえる状態になっているかを確かめてください。オファーがなければ、まだ市場評価が固まっていないサインです。
私の場合は転職1.5年目で独立しましたが、当時の市場評価は単価約50万円でした。オファーはもらえましたが、「オファーをもらえた=勝負できる」という判断が甘かったことが後の失敗につながりました。
判断基準②:生活費6ヶ月分以上の貯蓄がある
フリーランスは案件が途切れた月も、社会保険料や住民税の支払いは続きます。独立後の最初の2〜3ヶ月は収入ゼロの可能性もあります(案件開始から初回入金まで2〜3ヶ月かかるケースも多い)。
目安は生活費の6ヶ月分以上。月の生活費が25万円なら150万円の貯蓄が最低ラインです。できれば12ヶ月分あると精神的に余裕を持って動けます。
貯蓄が3ヶ月分未満で独立するのは、綱渡りです。案件が決まらない不安から「単価を下げてでも決めよう」という焦りにつながり、悪循環に陥ります。
判断基準③:案件を獲得できる「見通し」が1本ある
独立時点で「この会社・エージェント経由なら案件につながりそう」という見通しが、最低1本あることが必要です。
独立後に「さあ、案件を探そう」では遅すぎます。独立前の3〜6ヶ月間に、エージェントとの関係を作り、スカウトをもらい、面談をこなしておく。「独立したらすぐ動ける状態」を整えてから辞表を出す順番が正しいです。
この3つが全て揃っていれば、独立のタイミングは「今」です。 逆に1つでも欠けているなら、あと6ヶ月待つことをおすすめします。
私が転職1.5年で独立し、初案件を3ヶ月で切られた話
ここからは、私自身の失敗談をお伝えします。「3つの判断基準を知っていれば防げた失敗」です。
独立のきっかけは正しかったが、準備が不十分だった
SES 1社目で月収20〜25万円、転職して月収40万円になり「会社の中抜きで収入が決まるなら、フリーランスになれば全額自分のものだ」と考えました。転職から約1.5年、スキルにも自信がついてきた頃に独立を決断しました。
判断基準①は△(オファーをもらえたが、競争環境を見ていなかった)、②は△(貯蓄は5〜6ヶ月分程度)、③は○(エージェント経由の案件がすぐ決まった)——今振り返ると、ギリギリ満たしているようで、実は足りていませんでした。
初案件で「ベテランと比較される」地獄
初案件(単価約50万円)が決まり、意気揚々と参画しました。ところが参画してみると、私と同じタイミングでベテランエンジニアが1人追加で参画してきました。
後から気づいたのですが、同じタスクを私とベテランの2人で並行してこなす運用でした。おそらく両者の成果物を比較して、出来の良い方を採用する体制だったのだと思います。毎日、自分とベテランの仕事の質の差を目の当たりにするのは、本当に辛かった。
3ヶ月後、契約終了の連絡が来ました。
「スキルが足りない」のではなく「比較対象(ベテラン)に対して相対的に見劣りした」という理由でした。同じ市場価値でも、背景によって評価は大きく変わります。独立直後は「どんな環境・体制の案件か」を見極めることが、私が当時できていなかったことです。
立て直しと、その後の単価アップ
初案件失敗後、焦らず次の案件を探しました。2件目は同じく単価約50万円でしたが、今度は約1年間安定して継続できました。基礎を固め直した期間です。
その後、単価72万円(税込約80万円)の案件に移り、約3年間継続しました。さらにエンド企業の案件へ移行し、単価80→88→93万円(税込100万円超)と毎年上昇。今に至ります。
単価アップは「交渉一発」ではありません。①長期継続で信頼を作る ②エンド企業に近い案件へ移る ③希少スキル(Go言語)で代替不可能になる——この3段階の積み上げでした。
独立で失敗する人の3パターン
私の体験だけでなく、よくある失敗パターンを整理しておきます。
パターン1:「SESへの不満」が独立の動機になっている
「SESが嫌だから独立する」という動機は危険です。フリーランスになっても、同じような環境(客先常駐・中間業者経由)の案件に入ることはあります。「逃げる独立」は、環境が変わらないまま収入だけ不安定になる結果になりがちです。
独立の動機は「〇〇を実現したいからフリーランスを選ぶ」というポジティブな理由であるべきです。
パターン2:実務経験が浅い状態での独立
「未経験から1年でフリーランスになれた」という体験談が目に入ることがありますが、実際には案件の難易度・単価は経験年数に大きく左右されます。実務1〜2年では、取れる案件の幅が狭く、低単価か高リスク案件に集まりやすい。
一般的に実務3年以上、できれば5年以上の経験があると、案件選択の幅が広がり、単価も安定します。私が1.5年で独立したのは早すぎた部分もあり、初案件失敗という代償を払いました。
パターン3:単一技術への依存
1つの言語・フレームワークしかできない状態で独立すると、その技術の需要が落ちたとき収入がゼロになります。
たとえばGo言語(私のメインスキル)は実務7年のキャリアがあり、AWSとの組み合わせで希少性を持てています。単一スキルではなく「技術 × クラウド × ドメイン知識」のかけ算で差別化することが、長期的な単価を守ります。
2024年11月施行「フリーランス新法」がSES出身者に与える影響
2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス新法)が施行されました(出典:政府広報オンライン)。
SES出身のフリーランスにとって、特に重要なポイントを3つ挙げます。
変更点①:報酬支払い期限の明確化
発注企業は、業務完了から60日以内に報酬を支払わなければならなくなりました。これまで曖昧だった支払いサイトが法律で縛られます。「払ってもらえない」「引き延ばされる」リスクが下がりました。
変更点②:中途解約の事前予告義務
6ヶ月以上の継続的な業務委託を中途解約する場合、発注側は30日前に予告しなければなりません。突然の案件打ち切りに備えた生活防衛がしやすくなりました。
変更点③:ハラスメント対策の義務化
発注企業は、フリーランスに対するハラスメントの相談窓口を設置することが義務付けられました。SES時代に比べ、フリーランスの立場での権利主張がしやすくなっています。
フリーランス新法施行後の調査では、フリーランスの41.7%が「働きやすさが向上した」と回答しています。SES出身者がフリーランスに移行しやすい環境は、着実に整いつつあります。
独立後に必ず必要になる「確定申告」の準備
独立前後で多くの人が見落とすのが、確定申告の準備です。SES時代は会社が年末調整をしてくれましたが、フリーランスになると毎年自分で確定申告が必要になります。
青色申告を選択すると最大65万円の特別控除が受けられます。年収600万円のフリーランスなら、青色申告を選ぶだけで所得税・住民税を合わせて10〜15万円程度節税できる計算です。
私は独立直後からfreeeを使って自力で青色申告をしていました。確定申告ソフトを使えば、簿記の知識がなくても収支管理・申告書の作成ができます。独立を決めたら、会社を辞める前に確定申告ソフトの準備を始めておくことをおすすめします。
※2026年6月現在の税制に基づく情報です。最新の控除額・申告要件は国税庁(https://www.nta.go.jp/)でご確認ください。詳しい内容はお近くの税理士や税務署にご相談ください。
SES→フリーランス独立の準備チェックリスト
独立前に以下を確認してください。全部○になってから辞表を出すのが理想です。
| チェック項目 | 目安 | 状態 |
|---|---|---|
| 市場単価の確認 | エージェント2社以上でオファーをもらった | ○/△/× |
| 貯蓄 | 生活費6ヶ月分以上 | ○/△/× |
| 案件の見通し | 1本以上のルートを確認済み | ○/△/× |
| 実務経験 | 3年以上(最低2年) | ○/△/× |
| 確定申告の準備 | ソフトの選定・開業届の確認 | ○/△/× |
| スキルの希少性 | 「この人でないと」と言われる得意分野がある | ○/△/× |
| 家族・パートナーの理解 | 収入不安定リスクを共有済み | ○/△/× |
よくある質問
Q. SESから独立するのに、実務経験は何年必要ですか?
A. 最低2年、できれば3〜5年以上をおすすめします。実務2年未満は案件の選択肢が狭く、比較的低単価か高リスクの案件に集まりやすい傾向があります。ただし、Go言語やRustなど希少スキルを持つ場合は1〜2年でも高単価案件を獲得できるケースがあります。市場評価はエージェントへの登録・オファー状況で確かめてください。
Q. SESで月収30万円ですが、フリーランスになれば上がりますか?
A. 必ずしも上がるとは限りません。フリーランスは社会保険を全額自己負担するため、月単価が上がっても手取りが大きく増えないケースがあります。目安として、月単価が60万円以上取れる見込みがあれば、フリーランスの方が手取りは増えやすいです。それ未満の場合は、まずSES会社を変える・スキルアップする方が近道かもしれません。
Q. 独立してすぐに案件が取れなかった場合、どうすればいいですか?
A. まずは複数のエージェントに登録し、条件を少し下げて(単価ではなく業務内容)でも参画することを検討してください。実績ゼロのフリーランスより、フリーランス1年目の実績のある方が次の案件を取りやすくなります。初案件は「実績作り」と割り切ることも選択肢の一つです。
Q. フリーランス新法はSESのフリーランスにも適用されますか?
A. はい、フリーランス新法(2024年11月1日施行)は、個人事業主として業務委託契約を結ぶ全てのフリーランスが対象です。SES経由でクライアントに入っている場合でも、直接の発注者(エージェントや中間業者を含む)に適用されます。
Q. SESから直接エンド企業のフリーランスになることはできますか?
A. できますが、初めから直請けを狙うのは難易度が高いです。最初はエージェント経由で実績を積み、2〜3年後にエンド企業との直接交渉を試みるのが現実的です。私自身も、エージェント経由で長期契約を重ねた後、エンド直案件に移行して単価が80→88→93万円と上昇しました。
Q. 独立前に副業でフリーランス案件を試すのはありですか?
A. とても有効です。副業で1〜2件の案件をこなしておくと、「フリーランスとして案件を取れる自信」「確定申告の経験」「エージェントとの関係」を事前に作れます。ただし、SES企業の就業規則に副業禁止規定がある場合は確認が必要です。
まとめ:SES→フリーランス独立は「タイミング」が8割
SESからフリーランスに独立するかどうかは、「やる気」や「覚悟」よりタイミングが8割だと私は思っています。
- ✅ 市場単価(エージェント2社以上のオファー)を確認してから
- ✅ 生活費6ヶ月分以上の貯蓄を作ってから
- ✅ 案件獲得の「見通し」が1本できてから
この3つが揃ったとき、独立のスイッチを押してください。私のように「オファーをもらえたから大丈夫」と過信して飛び込むと、初案件3ヶ月打ち切りという痛い授業料を払うことになります。
独立後は、まず確定申告の準備を最優先にしてください。青色申告の65万円控除を活かすには、開業届提出と帳簿管理が必要です。会計ソフトを使えばこの手間は大幅に省けます。
独立後の税務・節税については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
著者プロフィール
🦈 さめじま(フリーランス・ラボ・アーキテクト 編集長)
完全未経験からエンジニアとして独立し、数年で年収1,000万円・個人資産5,000万円を達成した戦略家。感情や根性論を排除し、AIツールと税務戦略を駆使した「最もスマートな独立ルート」をシステム論として発信している。フリーランス・ラボ・アーキテクト(本メディア)では、独立・副業・資産形成・FIREをテーマに、再現性の高い実体験ベースの情報を提供している。
本記事の内容は2026年6月現在の情報をもとに作成しています。フリーランス新法・税制は改正される場合があるため、最新情報は政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/)・国税庁(https://www.nta.go.jp/)でご確認ください。本記事は特定のサービスへの加入を強制するものではありません。
