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SES会社に所属していたとき、私の月収は20〜25万円だった。同じ現場で同じ仕事をしていた元エンド社員が「あなたの単価は70万円ですよ」と教えてくれたとき、思わず声が出た。自分に届いていたのは45万円——残りの25万円以上は商流のどこかに吸われていたのだ。その翌年、SES会社を転職するだけで月収は40万円になり、フリーランス独立後にエンド直案件に入ってからは単価80万→88万→93万(税込100万超)まで段階的に上がった。エンド直移行は「特別なコネ」がなくてもできる。ただし3つの入り方のどれを選ぶかで、到達までの時間が数年単位で変わる。
この記事では2026年フリーランス新法施行後の最新環境をもとに、SESエンジニアがエンド直案件に入るための3ルートと、移行後の手取りシミュレーション(月単価70万円・SES還元率別比較)を実数値で解説する。
ご確認のお願い: 本記事の手取りシミュレーションは2026年7月現在の税制・保険料率をもとにした概算です。実際の金額は条件により異なります。フリーランス独立に関する契約・税務の詳細は専門家にご相談ください。情報の基準日: 2026年7月13日
📌 この記事でわかること
- 月単価70万円でSES vs エンド直フリーランスの手取り差(最大月15万円・年180万円の差)
- エンド直案件への3つの入り方(現場声がけ・エージェント活用・個人ブランド)
- SES月収20〜25万からエンド直単価93万に至った実体験と所要期間
- 2026年施行フリーランス新法でエンド直契約を正しく結ぶ方法
- エンド直に移行できない人の典型的な原因と対策
SESとエンド直、なぜこんなに手取りが変わるのか
エンド直(エンドユーザー直)とは、SES会社や派遣会社などの中間業者を経由せず、発注元企業(エンドクライアント)と直接業務委託契約を結ぶ形態を指す。
SESの典型的な商流は次のようになっている。
エンドクライアント(単価100万)→ プライム企業(取り分15〜20万)→ SES会社(取り分10〜20万)→ エンジニア(受取60〜75万)
この構造では、エンジニアに届く割合(還元率)が60〜75%になるのが一般的だ。単価70万円の案件でさえ、エンジニアの受取は42〜52万円になる。
一方、エンド直契約ではこの多重構造がなくなる。単価70万円の案件がそのまま収入の起点になるため、青色申告・各種控除・社会保険コスト最適化を組み合わせれば手取りを大幅に引き上げられる。
SES在籍中と独立後の手取り差を月収・年収ベースで詳しく見たい方は「SESとフリーランスの手取りを徹底比較|中抜き率と月収差の実態【2026年版】」で実数値をまとめている。
🦈 私の実体験
SES1社目で月収20〜25万円だったとき、現場の単価が70万円だと知った。転職してSES2社目に移るだけで同じような案件なのに月収が40万円になった。「SESは会社が変わるだけで手取りが倍になる」——この事実が独立を決意させた最初のきっかけだった。

月単価70万円で手取りはいくら変わるか【実数値シミュレーション】
2026年の税制(基礎控除58万円・青色申告控除75万円)・令和8年度の国保上限・協会けんぽ保険料率をもとに試算した。
| 形態 | 月収(税前) | 月手取り(概算) | 年手取り(概算) |
|---|---|---|---|
| SES(還元率60%) | 42万円 | 約33万円 | 約396万円 |
| SES(還元率70%) | 49万円 | 約39万円 | 約468万円 |
| エンド直FL(個人事業主) | 70万円 | 約48万円 | 約576万円 |
| エンド直FL+マイクロ法人二刀流 | 70万円 | 約52万円 | 約624万円 |
計算条件(概算・個人差あり): 2026年基礎控除58万円(年収500万未満の場合の概算)・青色申告特別控除75万円・国民健康保険料(東京・40歳未満・年収840万の場合は上限に近い)・個人事業税5%(課税売上から290万控除後)・所得税・住民税を加味。マイクロ法人二刀流は役員報酬月4.5万円・協会けんぽ東京(9.85%+子育て支援金0.23%)、法人住民税均等割7万円を考慮。詳細は税理士・社労士にご確認ください。
マイクロ法人二刀流の具体的な設計と社保削減シミュレーションは「フリーランスエンジニアのマイクロ法人+個人事業の二刀流で社保を月2万円台に【2026年版】」で解説している。
SES還元率70%からエンド直(個人事業主)に移行するだけで、月+9万円・年+108万円の手取り増。さらにマイクロ法人を組み合わせると+13万円・年+156万円になる。社会保険の最適化が手取りをさらに押し上げる。
エンド直案件への入り方【3つのルート】
ルート①:今の現場から直接声がけされる
SES常駐先のエンドクライアントから「直接フリーランス契約しませんか」と誘われるのが最も理想的なルートだ。ただしこれは「どんな働き方をするか」に大きく依存する。
声がけされやすい条件:
– 長期(1年以上)同じ現場で安定した成果を出し続けている
– 技術力だけでなく「コミュニケーションコスト」が低い評価を得ている
– 現場のプロジェクトリードや発注側と直接話す機会がある
SESの契約条件によっては「退職後○ヶ月は同一クライアントとの直接契約禁止」(競業避止条項)が含まれる場合がある。独立前に雇用契約書を確認し、抵触するリスクがある場合は弁護士に相談する。
ルート②:フリーランスエージェント経由でエンド直案件を探す(最推奨)
エンド直に強いエージェントを活用するのが、再現性・スピードの両面で最も確実なルートだ。エージェントによって取り扱う案件の「商流の深さ」が異なるため、エンド直・プライム直案件を明示しているエージェントを選ぶことが重要になる。
選び方のポイント:
1. 「エンド直」「プライム」「商流2次以内」を謳っているかを必ず確認する
2. 週2〜3日稼働の副業案件から試せるエージェントは、独立前の「お試し参画」として活用できる
3. 担当者に「御社が取り扱う案件の商流は何次までか」と直接聞く
私はエンド直案件を探す過程で複数のエージェントを同時に登録し、最終的に1社のメインエージェントとは4〜5年の長期関係になった。長くつき合うほど「あなたの得意領域に合った案件」が優先的に紹介されるようになる。
🦈 私の実体験
独立後の2件目案件から、エンド直に近い商流の案件に絞って探した。3年間同じ現場で継続したことで「次もあなたに」と言われ、エンド企業から直接オファーが来るようになった。その結果、単価は72万→80万→88万→93万と毎年上がり続けた。スキルより「継続して成果を出した実績」が単価を押し上げた実感がある。
ルート③:SNS・GitHubで個人ブランドを作る
技術発信(Qiita・Zenn・X(旧Twitter))やOSSコントリビューションで知名度を上げ、直接問い合わせが来るようにするルートだ。時間はかかるが成功すればエージェント手数料がゼロになる。
向いている人:
– Go・Rust・Kubernetesなど希少性の高い技術領域を持つ
– 技術記事や登壇で継続的にアウトプットできる
– 直接交渉・契約管理を自分で行うことに抵抗がない

エンド直に移行できない人の典型的な3つの原因
原因①: 案件探しをSES会社に完全依存している
SES会社が紹介する案件しか受けたことがなく、自力で案件を探す術を持っていない状態。この状態ではエンド直への移行経路がない。複数のフリーランスエージェントに登録し、「どんな案件があるか」を把握するだけでも世界が変わる。
原因②: 単価交渉の経験がゼロ
SES会社では単価はあらかじめ決まっており、個人で交渉する機会が少ない。フリーランスエージェント経由でも、担当者に「今の私のスキルセットで妥当な単価はいくらか」を積極的に聞く習慣をつけることが先決だ。
原因③: Goや希少スキルがなく代替が効く
Java・PHPなど競合エンジニアが多い領域では、エンド直でも単価を上げにくい。私がGo言語(実務7年)とAWSを組み合わせたのは、「希少性で代替不可能になる」ための意図的な選択だった。希少スキルを1つ持つだけで、エンド直での交渉力が大幅に上がる。
まず複数のフリーランスエージェントに登録して「現在の市場単価」を把握することが最初の一歩。登録・相談は無料で、現在の案件相場を知るだけでも十分な価値がある。
2026年フリーランス新法でエンド直契約はどう変わったか
フリーランス新法の主なポイント(エンド直契約に関係するもの):
- 書面等による条件明示の義務化: 発注者は業務委託の内容・報酬・支払い期日等を書面または電磁的方法で明示しなければならない
- 報酬支払期日: 業務委託日から数えて60日以内(特定業務委託事業者の場合)
- ハラスメント対策体制の整備: 発注者側に相談窓口設置等の義務
- 中途解除の制限: 業務委託の一方的・突然の解除には理由の明示が求められる
エンド直でフリーランス契約を結ぶ際は、この新法に基づいて「①業務内容 ②単価 ③支払い期日 ④契約期間 ⑤解除の条件」を必ず書面で確認・記録しておくことが重要だ。口頭契約で後でもめるリスクが法的に低減された一方、エンジニア側も書面を積極的に求める権利がある。
(参考:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の概要」)
SESからフリーランス独立への具体的なタイミングの見極め方は「SES→フリーランス独立タイミング3条件【転職1.5年実体験】」も参考にしてほしい。
SES月収20万円からエンド直単価93万円に至った7年間のリアルな経路
🦈 私の実体験(7年間の経路)
2020年以前のSES時代: 月収20〜25万円(SES1社目)→ 転職しただけで月収40万円(SES2社目・同じような案件なのに「中抜き差」で倍近くになった)。
2020年(独立・マイクロ法人同時設立): 独立直後の初案件(単価50万円)を3ヶ月で契約終了。ベテランエンジニアとの比較で相対的に見劣りした。これが最初の挫折。
立て直し後: エージェント複数登録で2件目の案件を獲得(単価50万円)。腰を据えて約1年継続。
単価ジャンプ: 同一現場での継続実績が評価され、単価が72万円(税込80万円)に跳ね上がった。3年間の長期継続で実績を積んだ結果だった。
エンド直移行: エンド企業から直接オファー。単価80万→88万→93万と毎年上昇。現在は税込100万円超/月で稼働。
所要期間: SES1社目から数えて約7年。「コネも特別なスキルもない状態」からの再現可能な経路だと思っている。
よくある質問と答え
Q1. エンド直案件はSES経験何年から狙えますか?
実務経験3年以上が現実的な目安です。ただし希少スキル(Go・Rust・Kubernetes・セキュリティ)があれば2年でも可能なケースがあります。エンド直に強いエージェントに登録して「今の自分の市場単価」を確認するのが最初のステップです。
Q2. エンド直とフリーランスエージェント経由の違いは?
エンド直は発注元企業と直接業務委託契約を結ぶ形態です。フリーランスエージェントは「商流を短縮するための仲介サービス」であり、エンド直案件をエージェントが媒介することもあります。エージェント手数料(10〜15%程度)が引かれますが、その分案件探しの工数が減り、契約サポートも受けられます。
Q3. SESの競業避止条項に引っかかりませんか?
雇用契約書の内容次第です。退職後一定期間・同一クライアントとの直接契約を禁じる条項がある場合は要注意です。独立前に必ず確認し、疑問があれば弁護士に相談してください。2024年11月施行のフリーランス新法は、不当な競業避止による不利益行為を牽制する効果もあります。
Q4. Go言語がなくてもエンド直に入れますか?
入れます。ただし「希少スキル×実績」の掛け合わせが単価交渉力を上げるのは事実です。JavaやPHPでも、特定ドメイン(金融システム・物流・医療)で深い経験を持つエンジニアはエンド直で高単価を維持しています。「何の案件なら代替が効かないか」を軸にスキルを磨くことが重要です。
Q5. エンド直独立後、確定申告はどうすればいいですか?
個人事業主として青色申告(65万円または75万円特別控除)が基本です。売上が1,000万円を超えると消費税(インボイス)が問題になります。私はfreeeで税理士なし・自力完結していますが、独立初年度は税理士に一度確認するのが安全策です。
📝 この記事のまとめ
- 月単価70万円でSES(還元率70%)とエンド直フリーランスの手取り差は月約9万円・年約108万円。マイクロ法人二刀流なら月約13万円・年約156万円の差になる
- エンド直への入り方は①現場声がけ②エージェント活用③個人ブランドの3ルート。最も再現性が高いのは②のエージェント活用
- 2024年11月施行のフリーランス新法により、エンド直契約では業務委託条件の書面明示が義務化。条件を書面で確認・記録することが必須
- 移行できない原因は「案件探しをSES会社に依存」「単価交渉経験ゼロ」「希少スキルがない」の3つ。まず複数のエージェントに登録して市場単価を把握することから始める
- 私はSES月収20〜25万から7年かけてエンド直単価93万(税込100万超)に到達した。コネなし・特別な才能なし——継続実績と希少スキル(Go×AWS)の積み上げが唯一の方法だった
👉 まずやること:エンド直案件を扱うエージェントに無料登録し、自分の現在の市場単価を確認する
著者プロフィール: さめじま(フリーランス・ラボ・アーキテクト 編集長)。飲食業から完全未経験でエンジニアに転職後、SESを経て約1年半でフリーランス独立。Go言語7年×AWS×フルリモートを武器に単価を月50万→93万(税込100万超)まで引き上げ、マイクロ法人+小規模企業共済+米国ETFで資産5,000万円を達成。税理士なし・freeeで自力青色申告・法人決算を継続中。
FAQ(よくある質問)
Q: SESエンジニアがエンド直案件に入るには何年の実務経験が必要ですか?
A: 実務経験3年以上が現実的な目安です。ただしGo・Rust・Kubernetesなどの希少スキルがあれば2年程度でもエンド直案件を紹介されるケースがあります。まずはエンド直に強いエージェントに登録して現在の市場単価を確認することをおすすめします。
Q: SESとエンド直フリーランスでは手取りがどのくらい変わりますか?
A: 月単価70万円の場合、SES(還元率70%)の手取りが月約39万円に対し、エンド直フリーランス(個人事業主・青色申告)は月約48万円と約9万円・年約108万円の差があります。マイクロ法人の二刀流を組み合わせると月約52万円(差額月13万円・年156万円)まで手取りを高められます。
Q: エンド直案件への入り方でおすすめのルートはどれですか?
A: 最も再現性が高いのはフリーランスエージェント経由(ルート②)です。エンド直・プライム直案件を扱うエージェントを複数登録し、担当者に「商流は何次まで?」と確認する習慣をつけることが第一歩です。複数のエージェントを比較することで、自分の市場単価と最適な案件を見つけやすくなります。
Q: 2024年施行のフリーランス新法でエンド直契約は何が変わりましたか?
A: 発注者(エンドクライアント)に業務委託条件(業務内容・報酬・支払期日など)の書面等による明示が義務化されました。エンジニア側は書面での条件確認を積極的に求められるようになり、口頭契約によるトラブルリスクが低減されています。フリーランス独立後のエンド直契約では、必ず書面で5条件(業務内容・単価・支払い期日・契約期間・解除条件)を確認してください。
Q: SES時代の競業避止条項がある場合、エンド直移行は難しいですか?
A: 条項の内容次第です。退職後の期間制限・対象範囲を確認してください。制限が不当に広い場合は無効になることもありますが、判断が難しい場合は弁護士に相談するのが安全です。独立前に契約書を確認することが最重要です。
